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1900年への旅―あるいは、道に迷わば年輪を見よ [本]

年間100冊以上の濫読だが、人生を考えさせられるくらい感銘を受けた本というのが数冊ある。

そんな本の中の一冊。特に今多いであろう迷っている方に私がお薦めしたいのが、この本



先ずタイトルが良い。

“道に迷わば年輪を見よ”というのは木の年輪は南方向に成長していることを目安に方角を知ることだが、ここでは勿論、進むべき方向を見失ったら歴史に学べ、ということを意味している。

内容はさらに素晴らしい。

時は1900年。パリ万国博覧会に沸くヨーロッパ。

秋山真之、夏目漱石、南方熊楠と言った日本の針路に大きな影響を与えた人々がそれぞれの思いを抱いてヨーロッパで何を見、体験し、考え、それが彼らをどの方向に動かし、日本をどう動かしたのか?

この興味深いテーマについて、三井物産戦略研究所長(当時。現在会長)の寺島実郎が丹念に調査し、俯瞰的視野から実に鋭い考察をしている。

実は最近自分自身色々考えるところがあって、長年積ん読状態になっていたこの本の続編のアメリカ編を埃を拭って読んだのだが、100年前の先達の苦闘の記録と著者の鋭い考察が示唆に富んでいるのは勿論だが、マネー至上主義の崩壊を予言するかのごとき内容もあり、改めて今読むに相応しい本と感じた。

何しろ2002年発行の本なので絶版になっていないか危惧したが、改題されて新潮選書から出ていたので今でも購入可能。

人間の進歩とは何なのか?日本人は、自分はどこを目指すべきなのか?
“道に迷わば本書を一読せよ”というところか

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